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モダンタイムズ
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伊坂幸太郎さんのモダンタイムスを読む。
電子書籍では中々コンテンツが増えない中、伊坂さんの作品が増えてきているので
抜群の安定感で気楽にダウンロード。


『魔王』の続編。そして同時期に『ゴールデンスランバー』を書いていたということで
ゴールデンスランバーでは意志をもった組織として描かれていた国家のシステムが
今回は分業されて完成した監視・管理システムとして描かれている。

「人は分からないことがあったらまず検索する」という当たり前の行為を逆手にとって、
検索した人間が次々に監視され危険なことに巻き込まれていく話。

仕事が次々に引き継がれることで作業が細分化され、最終的には良心や罪悪感が消えていく。
仕事だからやらざるを得ない。「そういうものだ」、で決めつけてしまったら、仕事で殺人も仕方がないことになってしまう。

映画「モダンタイムス」では、産業革命により、工場が機械化され、人間が翻弄される話だった。
それを主人公は思い出す。

これぞ伊坂ワールド、っと納得できる読後感と、作品自体の面白さは抜群。

『そういう風になっている』というシステムの話も違和感無く構成されていて
キャラクターの個性もわかりやすく面白い。

「人生は要約できねえんだよ。人ってのは毎日毎日、必死に生きてるわけだ。
つまらない事をしたり、誰かと言い合いしたり。
そういう取るに足らない出来事の積み重ねで、生活が、人生が、出来上がってる。
だろ。ただな、もしそいつの一生を要約するとしたら、そういった日々の変わらない日常は省かれる。

(中略)

でもって、『だれそれ氏はこういう人生を送った』なんて要約される。
でもな、本当にそいつにとって大事なのは、要約して消えた日々の出来事だよ。
それこそが人生ってわけだ。つまり」

「人生は要約できない?」
「ザッツライト」

『 人生は要約できない。要約したときに抜け落ちる部分こそが、その人の人生なのだ。』



おすすめです!


では!
by fbmitu | 2013-03-28 19:29 |
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